陰陽五行論【1】
中医学とは、中国医学・中国漢方・東洋医学、と呼ばれている、中国で確立した自然哲学の医学です。
陰陽学・五行学、薬草学、鍼灸、あんま(マッサージ)、気功といった方法を用い、人間がもともと持っている防御力や抵抗力、免疫力を最大限に引き出し、正常な状態に導き、病気の根本的な解決を目指すことを目的としています。
体質と一口に言ってもわかりにくいし、文章が長くなってしまうので例を挙げてみましょう。
もともと風邪を引きやすい人がいます。
風邪を引きやすい体質です。
それを予防できるとしたらどんな事を考えて対処すればよいのでしょうか?
例えば「大抵いつも最初に鼻水が出て、しばらくすると熱がでて、咳が1週間くらい続きます。」ということがわかれば、対処療法は可能ですね。
しかし「風邪を引きやすい」こと自体を何とかしてくれ、というご相談を受ければ、私たちは「胃腸の状態」や「呼吸器系の状態」「ホルモン系の状態」をお伺いします。そして、例えば「胃が弱い、おなかをこわしやすい」などという場合には、胃腸を元気にしてあげることで風邪を引きにくくなります。
また「呼吸器系が弱い」方へは呼吸器系の強化、重度な冷えをもっている方へは冷える原因を取り除き体を温める対応をすればよいのです。
どこが弱いのか、どこのバランスが崩れているのか、が、その人の体質であり、その箇所は単体である場合も複数である場合もあります。それらの弱い箇所に対応してトータルバランスを整えていくところが中医学の良さです。
トータルバランスを整えるということは「風邪を引きにくくなった」と「生理痛がなくなった」「肩こりが消えた」という同時に複数の問題解決につながります。
陰陽五行論
「どうして風邪を引きやすい体質に胃腸が関係あるの?」
と疑問をもたれる方も少なくありません。
こうした対応の裏づけとなるのは中医学の基礎理論、陰陽五行論です。
中国の先人は「自然界の万物は陰陽五行で理解できる」として時間をかけて確立してきた自然哲学で、陰陽論と五行論が合体したものが陰陽五行論です。
陰陽論は、自然界を陰と陽の2元でとらえる考え方です。
例えば女性は陰、男性は陽、に分類されます。陰と陽は、正反対の性質をもっていますがお互いがあって始めて成り立ち、お互いがバランスを保つことが重要で、どちらかが打ち負かして良いものではありません。
そして普遍的なものだけではなく流動的に変化するものもあります(陰の性質だったものが陽の性質に変わったり)。一例を挙げてみますので下表をご参考ください。
陰 |
陽 |
静的、内なるもの | 動的、外なるもの |
夜 | 昼 |
月 | 太陽 |
水 | 火 |
海、地 | 空、天 |
体内 | 体表 |
臓 | 腑 |
虚証 | 実証 |
寒い | 熱い |
豆乳、なす、トマト、じゃがいも、バナナ、いちじく、ぶどう、メロン、わさび、唐辛子など | 人参、ごぼう、ふき、タイ、あじ、いわし、まぐろ、羊肉、卵、味噌、しょうゆ、朝鮮人参など |
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