[ 前の記事 ] [ 次の記事 ]

唇の違和感

 

痩せ型の22歳の女性が来店されました。
 
職業はOLさんです。
 
三ヶ月ほど前より、下唇に異様な違和感を覚える。
 
痛くもなく、痒くもなく、痺れるわけでもないという。
 
その状態を表現する適切な言葉が見つからないため、本人の言葉を借りれば
 
「まるで、セロテ-プを唇に張り付けたような感じがする。」
 
とのことである。
 
強いて言えば、唇の麻痺或いは無感覚な状態に近いようである。
 
唇の色はやや薄い紅色で、外観上は特に変わったことはない。
 
当初は、しばらくすれば自然に治るだろうと思い、放置していたがいつまでも変化がないので、心配になってきた。
 
病院の何科を訪ねるのか迷った挙句、口腔外科の門を叩いた。
 
病院で、一通りの検査を受けるが、どこにも異常がないので治療の施しようがない、と言われ、神経科にでも行ってみてはどうかと奨められた。
 
精神安定剤を服用するのは、どうも気が引けるので困っていたところ、友人に漢方薬をのんでみてはどうかと言われ、相談にいらしたとのことでした。
 
元来、胃腸は丈夫の方ではないが、食欲は普通にある。
 
但し、少し食べ過ぎると胃がもたれる。
 
冬季になると手足が冷え易く、肌や髪は乾燥気味となる。
 
普段からストレスが多く、イライラして怒り易い。
 
特に月経前になると悪化する。
 
月経周期は28~30日で、月経痛は初日~2日目に少腹部や腰部に軽い痛みがある。
 
経血量は少な目で、経血に大小のレバー状の血塊が混じる事が多い。
 
小便1日7~8回、大便2日に1回(やや便秘気味)、舌質淡、苔薄。
 
このご相談を受け、まず最初に頭に浮かんだのは唇という部位である。
 
唇とは、漢方的に考えると胃腸などの消化器と密接な関係がある。
 
現在は胃腸の状態はさほど悪くはないが、元々胃腸は丈夫ではないと言うことからも根本的な発症原因は消化機能の低下にあると
考えた。
 
次に気付いたことは、唇と舌の色である。
 
どちらも薄い紅色であり、さらに肌や髪が乾燥し易く、経血量は少な目な事である。
 
これらの症状は血の不足を指している。
 
消化機能の低下により血を生成することができなくなり、血の不足を引き起こしたのである。
 
さらに、ストレスにより気の巡りも悪くなり、血の流れも悪くしていたのが唇の痺れの原因であると考えた。
 
まず、根本原因である消化機能の改善をする作用のある漢方薬を中心に、血の不足を改善するものと、気の巡りを良くして血流改善の
働きのある漢方薬を7日間(2800円)服用して頂いた。
 
7日間の服用で、唇の異様な違和感は完全に消失した。
 
引き続き、体質改善を目的に約3ヶ月間(合計36000円)服用したところ、月経時の血塊など月経不調、便秘等の他の症状も改善され、無事に終了となりました。

 
 

bud.gifイセヤ漢方薬局bud.gif